写真,野草

雨の日だと花びらの透け感が増して、晴れの時よりもきれいな感じがします。そろそろ本格的な梅雨入りですね。

写真,野草

セリバヒエンソウ

この花を初めて見たのは、学生時代のJR駅でした。今でもその時の風景は思い出せるのに、どこ駅だったのかがまったく思い出せません。幹線道路に沿うように横長のプラットホームがある田舎の駅だと思い出せるのですが、さてはて何駅だったのやら。どこかの山に登るために訪れているはずなので、有名な山の登山口になっている駅なのですが…時の流れは残酷だ。

昔風にいうと帰化植物で、外来生物です。侵略的とまでは言えないそれ程分布が拡大されやすい種類ではありません。十年単位で見るとあれ? あそこにも昔からあったっけ? な事は感じますが、まぁそれは在来の自生種でも同じですし、取り分けて問題視するような花でもないかなと。

写真,野草

ノイバラ

いわゆる野バラです。日本の野性バラで最も一般的な、平野部で見掛けるバラの原種です。とても良い香りがありますし、秋に付く赤い実はクリスマスリースに人気だったり、身近な上に役に立つバラです。ノイバラに近縁の野生バラに、やや暖地系のテリハノイバラ、西日本に分布するピンクの花を咲かせるツクシイバラ、中国から伝わったと言われるナニワイバラなどがあります。

いずれも園芸品種の台木に使われたり、香料の原料になったり丈夫で繁殖力の高いバラです。黄色の雄しべからはよく花粉が出るので、ミツバチや他のハナバチに人気のようです。花付きの良さを園芸種に取り込む為や、丈夫さに期待してかなり昔から育種親に使われてきました。

写真,野草

サイハイランのつぼみ

会社周辺の雑木林には、何種類かの野生ランが自生しています。サイハイランという冬緑性? のランもその一つで、秋に新しい葉を出して冬の間は濃い緑のエビネに似た大きな葉を付けます。花が咲く頃かその後に徐々に黄色くなって枯れ落ちますが、花の咲かない年はそのまま残ったりもします。

写真の左上と右下にニョキッと突き出ている、赤紫のつぼみがサイハイランのつぼみです。それぞれの左に昨年の葉が付いているのが分かるでしょうか。やや黄緑色がかっているので花後には枯れてしまうと思います。葉数の多くないランなので、一枚とはいえ光合成を行う上では重要な葉なのですが、幸いにも食害を受けることはほとんど無いのか、天寿を全うする葉を見掛けることが多いです。

本格的な梅雨になるとサイハイランの花が咲き始めます。

写真,野草

ハリエンジュ

正式な和名はハリエンジュですが、ニセアカシアという別名の方がよく知られていると思います。マメ科の高木で15mを超える樹も珍しくありません。萌芽力と根張りがとても強いので、護岸工事で利用されてきた経緯があります。山梨では河川敷のあちこちに林になっているのを見掛けるので、なじみのある花木ですね。

蜜源植物として重要視されているので、養蜂が盛んな地域でもあちこちで見掛ける花ではないでしょうか。ただ、個人的にはあまり印象の良く無い、苦手な植物です。とにかく枝に付くトゲがやっかいで、伐採した枝だけじゃなくて林床を歩くときも危険があります。実生でもよく増えるので、いつの間にか生えてくることもあって除草の際に邪魔者扱いです。

北米原産の外来種で、古くは街路樹としての利用が多かったようです。今では各地で侵略的外来種として駆除の対象にもなっていますので、好んで庭に植える人も減っていると思いますが、一度植えると除去するのが難しいのでご注意を。