写真,野草

ナワシロイチゴ

日本の野生木苺で、たぶん一番身近に見られるのがこのナワシロイチゴです。小川や田んぼの周辺で見られたり、ちょっとした柴山の道に生えていたりと、日本全国に分布する木苺です。せっかくかわいいピンク色の花びらを付けているのに、開かないまま受粉して花びらを散らしてしまいます。

写真の花もこれでちゃんと咲いている姿です。日が当たっていないから閉じている、わけではありません。なぜこんな咲き方なのか不思議ですが、食害を受けやすい環境から大事な実を守るためと考えると、少し必死な感じが可愛らしく思えてきます。花後に付くラズベリーは美味しいですからね。

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スイカズラ

スイカズラ科を代表するスイカズラとはこの花です。昔の人は花を摘んで、蜜を吸ったことから「吸い葛」でスイカズラという名前になったと言われています。自分はサルビアやオシロイバナの蜜を吸った経験はありますが、スイカズラは試したことがありません。歩いていて近くを通ると分かるくらいに良い香りがあります。

西洋ミツバチが来ているので、蜜源として重要な花なのでしょう。咲き始めは白くて、終わり頃に黄色くなるので金銀に見立ててキンギンカという呼び名もあるとか。同じスイカズラ属でキンギンボクという植物もありますが、名前が似ていても猛毒植物なのでご注意を。夏に赤い実が二個並んで付くので、瓢箪木とも呼ばれます。

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雨の日だと花びらの透け感が増して、晴れの時よりもきれいな感じがします。そろそろ本格的な梅雨入りですね。

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セリバヒエンソウ

この花を初めて見たのは、学生時代のJR駅でした。今でもその時の風景は思い出せるのに、どこ駅だったのかがまったく思い出せません。幹線道路に沿うように横長のプラットホームがある田舎の駅だと思い出せるのですが、さてはて何駅だったのやら。どこかの山に登るために訪れているはずなので、有名な山の登山口になっている駅なのですが…時の流れは残酷だ。

昔風にいうと帰化植物で、外来生物です。侵略的とまでは言えないそれ程分布が拡大されやすい種類ではありません。十年単位で見るとあれ? あそこにも昔からあったっけ? な事は感じますが、まぁそれは在来の自生種でも同じですし、取り分けて問題視するような花でもないかなと。

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ノイバラ

いわゆる野バラです。日本の野性バラで最も一般的な、平野部で見掛けるバラの原種です。とても良い香りがありますし、秋に付く赤い実はクリスマスリースに人気だったり、身近な上に役に立つバラです。ノイバラに近縁の野生バラに、やや暖地系のテリハノイバラ、西日本に分布するピンクの花を咲かせるツクシイバラ、中国から伝わったと言われるナニワイバラなどがあります。

いずれも園芸品種の台木に使われたり、香料の原料になったり丈夫で繁殖力の高いバラです。黄色の雄しべからはよく花粉が出るので、ミツバチや他のハナバチに人気のようです。花付きの良さを園芸種に取り込む為や、丈夫さに期待してかなり昔から育種親に使われてきました。