Oeceoclades属の原種たち

マキュラータの花芽が伸びてきました。先の方につぼみの元? なのか分枝なのかふくらみがあります。この仲間は無限花序に近い伸び方をするらしくて、分枝しながら複数の花を咲かせるようです。まだバルブがそれ程大きくないので多くの花は着かないと思いますが、初見の花は楽しみです。
ネットで Oeceoclades属について調べると、Wikipedia におよそ40種類がリストされています。ほとんど知らない見たことのない種類ばかりですが、今後はAPG分類で Eulophiaに組み込まれるので更に大所帯になると思います。そこで現時点で Oeceoclades とされている種類の簡単な一覧表をまとめてみました。
学名 | 原生地 | 記載年 | 標本採取年 |
Oeceoclades alismatophylla (Rchb.f.) Garay & P.Taylor | コモロ諸島、マダガスカル北東部 | 1885 | |
Oeceoclades ambongensis (Schltr.) Garay & P.Taylor | マダガスカル | 1913 | |
Oeceoclades ambrensis (H.Perrier) Bosser & Morat | マダガスカル北部 | 1951 | |
Oeceoclades analamerensis (H.Perrier) Garay & P.Taylor | マダガスカル北部 | 1939 | |
Oeceoclades analavelensis (H.Perrier) Garay & P.Taylor | マダガスカル南西部 | 1939 | |
Oeceoclades angustifolia (Senghas) Garay & P.Taylor | マダガスカル南西部、北部 | 1966 | |
Oeceoclades antsingyensis G.Gerlach | マダガスカル西部 | 1995 | |
Oeceoclades atrovirens (Lindl.) Garay & P.Taylor | インドかモーリシャスに存在する可能性がある | 1833 | |
Oeceoclades aurea Loubr. | マダガスカル | 1994 | |
Oeceoclades beravensis (Rchb.f.) R.Bone & Buerki | マダガスカル南部、西部 | 1881 | |
Oeceoclades boinensis (Schltr.) Garay & P.Taylor | マダガスカル北部、西部 | 1913 | |
Oeceoclades calcarata (Schltr.) Garay & P.Taylor | マダガスカル | 1915 | |
Oeceoclades callmanderi Bosser | マダガスカル北東部 | 2006 | |
Oeceoclades cordylinophylla (Rchb.f.) Garay & P.Taylor | コモロ諸島、マダガスカル北部 | 1885 | |
Oeceoclades decaryana (H.Perrier) Garay & P.Taylor | アフリカ南東部、南部 | 1935 | |
Oeceoclades flavescens Bosser & Morat | マダガスカル北東部 | 2001 | 1954 |
Oeceoclades furcata Bosser & Morat | マダガスカル北西部 | 2001 | 1943 |
Oeceoclades gracillima (Schltr.) Garay & P.Taylor | マダガスカル | 1913 | |
Oeceoclades hebdingiana (Guillaumin) Garay & P.Taylor | マダガスカル西部 | 1964 | |
Oeceoclades humbertii (H.Perrier) Bosser & Morat | マダガスカル南東部 | 1939 | |
Oeceoclades lanceata (H.Perrier) Garay & P.Taylor | マダガスカル中部 | 1935 | |
Oeceoclades latifolia (Rolfe) Garay & P.Taylor | サントメ島 | 1891 | |
Oeceoclades lavergneae J.-B.Castillon | レユニオン島 | 2012 | |
Oeceoclades lonchophylla (Rchb.f.) Garay & P.Taylor | タンザニア、モザンビーク、南アフリカ共和国(クワズール・ナタール州)、コモロ諸島 | 1885 | |
Oeceoclades longebracteata Bosser & Morat | マダガスカル南西部、南中部 | 2001 | 1970 |
Oeceoclades lubbersiana (De Wild. & Laurent) Garay & P.Taylor | コンゴ民主共和国、ウガンダ | 1899 | |
Oeceoclades maculata (Lindl.) Lindl | 熱帯アフリカ | 1821 | |
Oeceoclades pandurata (Rolfe) Garay & P.Taylor | ジンバブエ東部、マダガスカル | 1891 | |
Oeceoclades perrieri (Schltr.) Garay & P.Taylor | モザンビーク、マダガスカル北西部 | 1913 | |
Oeceoclades petiolata (Schltr.) Garay & P.Taylor | マダガスカル北部、西部 | 1913 | |
Oeceoclades peyrotii Bosser & Morat | マダガスカル南西部 | 2001 | 1974 |
Oeceoclades pulchra (Thouars) P.J.Cribb & M.A.Clem. | タンザニア、モザンビーク | 1822 | |
Oeceoclades quadriloba (Schltr.) Garay & P.Taylor | エスワティニ、ジンバブエ南部、マダガスカル西部 | 1913 | |
Oeceoclades rauhii (Senghas) Garay & P.Taylor | マダガスカル北部 | 1973 | |
Oeceoclades saundersiana (Rchb.f.) Garay & P.Taylor | 熱帯アフリカ西部(ベナン、ガーナ、ギニア、コートジボワール、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネ) 熱帯アフリカ中西部(中央アフリカ共和国、カメルーン、赤道ギニア、ガボン、ギニア湾諸島、ルワンダ、コンゴ民主共和国) 熱帯アフリカ北東部(エチオピア) 熱帯アフリカ東部(ケニア、タンザニア、ウガンダ) 熱帯アフリカ南部(アンゴラ、ザンビア) | 1866 | |
Oeceoclades sclerophylla (Rchb.f.) Garay & P.Taylor | コモロ諸島、マダガスカル南東部 | 1885 | |
Oeceoclades seychellarum (Rolfe ex Summerh.) Garay & P.Taylor | セイシェル諸島のマヘ島(絶滅) | 1928 | 1902 |
Oeceoclades spathulifera (H.Perrier) Garay & P.Taylor | マダガスカル北部、西部 | 1935 | |
Oeceoclades ugandae (Rolfe) Garay & P.Taylor | 熱帯アフリカ西部(ガーナ、コートジボワール) 熱帯アフリカ中西部(ギニア湾諸島、コンゴ民主共和国) 熱帯アフリカ北東部(エチオピア) 熱帯アフリカ東部(ケニア、ウガンダ) | 1913 | |
Oeceoclades versicolor (Frapp. ex Cordem.) J.-B.Castillon | レユニオン島 | 1895 | |
Oeceoclades zanzibarica (Summerh.) Garay & P.Taylor | タンザニア東部、ザンジバル諸島 | 1927 |
原生地は自生が確認されている地域で、マキュラータ種のように世界各地の熱帯地域に外来種として広がっている種類もあります。記載年は最初に学名が付けられた年、標本採取年は学名が付けられた個体が採取されたと記録されている年です。
どういう事かといいますと、かつてヨーロッパの植物学者はプラントハンターと呼ばれる現地の採取人に植物の採取を依頼して、それを元に分類していました。プラントハンターには専門家以外にも商社の調達員が目的の商材(スパイスやフルーツ、貴金属の鉱石など)を集める傍ら、珍しい花や植物を送っていたということです。
もちろん自ら現地に赴いて採取を行う学者もいましたが、危険を伴う行為なのであまり行う学者はいなかったようです。そうして送られてきたものの、分類の済んでいない未調査の標本が記録だけされていった、という事がありました。採取されてから数十年経って記載された原種は、そういうものだったり、以前は同一とされていた種を再検討した結果、別種として学名が付けられたパターンもあります。
セイシェラルム種は標本だけ残して自生地では絶滅してしまったようです。再発見されると良いのですが、一覧の中にはもう絶滅している種類も多いかもしれません。
この一覧にモノフィラの種名が無いのに気付いた方はいるでしょうか。モノフィラはマキュラータの地域変異と判断されて、種としては同種にされたためですが、これも標本だけで分類していたことが原因だったと考えられます。生体が容易に入手できるようになった現在、Eulophia に再編される際には別種とする事が検討されているようです。モノフィラは自生地も限られていますし。
全ての種類を目にすることはかなわないかもしれませんが、いつか出会えることを願っています。それにしてもアフリカ大陸って54もの国家があるんですね。
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