写真,野草

ヒガンバナ1
ヒガンバナ Lycoris  radiata  Herb

今年も彼岸花の咲く季節が来ました。学名のラジアータは「放射状の」という意味で、昔の分類に放射相称の生物群をまとめる考え方があったそうです。わたしの子供の頃には、ヒガンバナは死人花、墓花なんて呼び方もされていて、なんだか不吉で恐ろしい花だという印象が合ったように思います。

近年はそのような忌避感は薄れて、地方によっては秋の観光名所として知られる場所も増えてきました。特に棚田やお寺の周辺などが人気のスポットだとか。時代が変われば人も変わるというモノでしょう。救荒植物としてや殺鼠剤の材料、モグラ避けなど、さまざまな理由で人の手により日本各地に広がったヒガンバナ。

ほとんどは種子のできない三倍体個体で、栄養繁殖で増やし続けてきた物です。九州や中国大陸に二倍体の個体群があるので、それらの中から八重咲きや白花の個体が見つかっています。園芸的には耐病性が高く丈夫なので、他のリコリス属と交配育種が進んでいます。

ガーデニング

アザレアツバキの花
アザレアツバキの花

夏に咲く椿があるというのを初めて知ったのは、赤塚植物園さんの Webページを見ていたときでした。全くの不勉強でこの花の存在を知らずにいた自分を恥じつつマッハで注文。もともとツバキの仲間は大好きなので、いくつか育てている品種はあるものの、ツバキといえば早春から春までのお楽しみでまた来年。

メジャーな存在ではあるものの、春の風物詩としてのイメージしかなかったツバキ。それが夏に咲くものがあるなんて…まったくこの世界はどこまでも面白い。アザレアツバキ(Camellia changii)という、アザレアなのか、ツバキなのか、どっちなんだぃ! という紛らわしい名前は、学名のシノニムに C. azalea があって、元々はそちらの名前だったためのようです。なんかパチモンくさくて良く無い名前に感じるので、可愛い流通名があるといいですね~

ナツツバキという、同じツバキ科ではあるけれど別属の花木もあります。日本にも自生があって、ヒメシャラやシャラノキなど庭木でも人気のある白い一重咲きのお花です。アザレアツバキが夏に咲く椿なのにあまり知られていないのは、ナツツバキの存在に隠れている部分もあるかもしれません。

写真,野草

ヤビツギンラン
ヤビツギンラン

いつものカメラと違うので、全体的にあまい写真が多くてアレなのですが、職場近くの雑木林で見掛けたので写真を撮ってきました。付近には少数ですがササバギンラン、たくさんのギンランが見られます。ヤビツギンランというのは、ギンランのペロリアを指す和名で、唇弁が側花弁と同型に変化しているものを指します。

2020年に学名が変更されて、Cephalanthera erecta f. pelorica という地域品種扱いになりました。発見地のヤビツ峠以外でも各地で見つかっているので、それ程珍しい変異でもないのかもしれません。同様の変異はサワラン(アサヒラン)のペロリアのキリガミネアサヒラン、カキランのペロリアのイソマカキラン、ヒトツボクロのペロリアのヒトツボクロモドキなどに学名が付いています。最近の研究では、ヒトツボクロモドキは種が違うそうなので、別種扱いになっているかも。

写真,野草

クゲヌマラン
クゲヌマラン

この仲間の野生ランの存在を知ったのは、わたしが中学生の頃が初めてでしたので、かれこれ50年近く昔のことになります。初めて見たのはキンランで、父とエビネを見に行った途中で出会いました。それ以来この不思議な野生ランの仲間に心惹かれ、ギンラン、ササバギンラン、ユウシュンランと目にしたり写真を撮ったり出来たのですが、もう一種、クゲヌマランという種類があるという事実と、見ることが出来ていないという残念な想いが引っかかっていました。

クゲヌマラン(Cephalanthera longifolia)の存在を知ったのは、大学の自然系サークルに入った頃。幸いにも近くに有名な自生地があると教えてもらったので、先輩かたがた有志のグループで自生地を訪れて、クゲヌマランの花を探しましたが見ること適わず。それからも毎年花の時期に行ってみましたが、見付けることはできませんでした。ユウシュンランはサークル活動で訪れた山で偶然発見できて、意外にもたくさんの株が生えていて驚きつつも嬉しかった想い出です。

ガーデニング,洋蘭

Paph delenatii f. vinicolor の花
Paph delenatii f. vinicolor の花

パフィオの原種系の中で、良い香りを持つものは少ないそうですが、デレナティーはその中の一つです。この株もバラそっくりの良い香りがあります。自分の感じ方だと、ハマナスの香りに近いかなぁと思いました。こちらのパフィオも前回のワーディ・アルバと同じ及川洋蘭園さんの系統です。

Paph. delenatii fma. vinicolor ×sibling ( 'F-238’ × 'Wine Drop’ ) という組み合わせの実生個体で、F-238 は「’Select’×’Old Mountain’」から選抜された大輪系、Wine Drop は「’Upper Field’×’Patty’」から生まれた濃色個体だそうです。ビニカラーというのが「ワインカラー」という意味なので、まさしく赤ワインのような落ち着いた艶のある赤紫が出ていると思います。