フラグミペディウム・カーディナル ‘ウィルコックス’

フラグミペディウムとパフィオペディルムの違いについて、ごく最近まで理解していませんでしたがこの花を見掛けたことで一気に興味がわきました。え? レギネと似てる?…シプリペディウム・レギネの花の雰囲気と良く似た感じで、これがフラグミペディウムなの? とちょっと戸惑いに似たドキドキを感じました。
レギネ(レギナエ)は北米原産のアツモリソウ属の一種で、比較的育てやすくて交配親にもよく使われています。国内でも実生苗が安定して供給されている、数少ないアツモリソウの一つと思います。写真の花はフラグミペディウムなので、扱いはパフィオに近いですが日本の蒸し暑い夏は苦手なようです。最近は特に猛暑日が続くので、原種に近いフラグミペディウムは育てにくいのかなと思います。

フラグミペディウムを育てるのは人生初なので、アツモリソウとも自分が知っているパフィオとも異なる草姿にギャップを感じています。何の説明も受けないで花無しの株を見掛けたらシンビ? アフリカ系の球根類? と見紛う姿から、こんな風にアツモリソウみたいな花が咲くとは正直思いませんでした。
また、パフィオの同類くらいに思っていたので、草姿に対して花が小さいなと感じます。ペタルがドリルのように永く伸びる原種も多いようですが、展示会で見掛けたくらいであまり印象に残りませんでした。そもそもの話、パフィオはアジア原産、フラグミペディウムは南米原産という事すら知らず、アツモリソウ亜科の親戚筋くらいの認識でした。
なるべく根を傷めないように植え替えを行いましたが、根の様子や伸び方を見る限り、パフィオとは別系統なのがよく分かりました。どちらかと言えば根の様子はアツモリソウに近いものを感じます。アツモリソウの繊細さはありませんが、太さを倍くらいにしたらこんな感じかなぁと。パフィオよりは軟らかいですが、ランの根としては硬い方だと思います。
もう一つ面白さを感じたのが、決まった開花時期を持たない種類が多いという事。開花できるサイズにまで成長したら花芽分化して咲くよーというなんとも合理的な性質のようです。春から初夏に咲くことが多いそうですが、この株のように晩夏から秋に咲くことも珍しくないそうです。今上がっている花茎の左の株もつぼみが上がり始めているので、一ヶ月後くらいには次の花が楽しめそうです。
交配組合せはロンギフォリウムにシリミーを交配したセデニー (Phrag. Sedenii) にシリミーを戻し交配したものです。発表当時はシリミーの選抜個体と紹介されていましたが、後にセデニーとの戻し交配だとされています。遺伝子解析でもしたのか、育成者の訂正があったのかその辺は分かりませんが。
アツモリソウに似た感じの原種がいくつかあるので、それらを中心にもう少し集めてみたいなと思います。
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