写真,野草

ギンラン

春咲きの野生ランの中でも特に好きなランの一つです。理由はいくつかあるのですが、父が好きだったキンランと対になる名前を持つ蘭というのも理由の一つです。職場周辺の雑木林ではところどころにぽつぽつと生えています。キンランは見かけることがない代わりに、ササバギンランはよく見かけます。

ササバギンランとの違いは、全体的に小型で背が低い、葉が革質で丸みを帯びて細く尖らない、花数が少ない、明らかに突出した距がある、などの点があります。慣れれば花が咲き終わっていても、葉質の違いで分けられるほど、ギンランとササバギンランの葉の様子は異なります。

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クサノオウ

クサノオウという越年草が今年もよく咲いています。雑木林や空地、林道脇など割合どこでも見られるケシ科の雑草の一つです。雑草と呼ぶには花がきれいなので、下草刈りの跡地でも刈られずに残っているのを見掛けます。

クサノオウとは変わった名前だなぁと思います。茎や葉を折ると黄色い乳液が出てくるので、手に付くと黄色の染みになることから「草の黄」という語源や、民間療法で皮膚病全般の治療薬に使われたとか、漢方の一つでもあることから「草の王」だとか、色々言われています。

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ノダフジの花

職場周辺の雑木林シリーズです。一週間前には咲き始めでしたが、早くも咲き終わりの花が増えてきました。野性のフジには、ヤマフジとノダフジが知られています。写真のフジはノダフジと判断しましたが、一般的には蔓の巻き方が右巻きか、左巻きかで見分けるように言われます。ん? 右巻きと左巻きって、どういう風にみて右巻きなの? と疑問に思うかもしれませんが、これは成長の方向に向かってです。根元から蔓の先に向かう方向にみて、右巻きはヤマフジ、左巻きはノダフジです。

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ウバユリの花
ウバユリの花

ウバユリという植物があります。ユリじゃないユリ、というか狭義のユリ科に残されたユリ科の一つで、花を見るとちょっとひしゃげてしまったユリの花、という雰囲気があります。花びらの内側に暗褐色の斑点が入るところや、あまり開かないところなどはユリと似ていない点でしょうか。

ウバユリという名前の由来として、「花の頃には葉が枯れていることが多く、葉がない(歯がない)様子を姥婆に見立てて名前が付いた」という説明が、大手を振っているのですが……私の中では、この説にはとても違和感があります。

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ミズキのつぼみ

五月と言えばミズキの季節。自分の中では昔からGWから梅雨の間の花として親しみを感じています。真っ白な花が水平に広がって咲く様子は、遠目に見ても分かりやすくて「あ、あそこにミズキがあるから、あの林はきっとこんな植生だろうな」という目安にもしていました。

学生時代のサークルの先輩で、車の中から「あの辺に○○が生えていそうだから、ちょっと寄って見ていこう」と言い出す人がいました。なんで分かるのか尋ねたところ、「○○の匂いがするんだよね~」なんて冗談を言う人でしたが、よくよく聞いてみると樹木の種類で判断していると教えてくれました。この樹が生えていて、北向きの斜面だから○○が生えているだろう、川沿いの南が開けた場所でこの樹が生えているから林床に○○があるだろう、と予想して探すのだそうです。

実際にその先輩の予想は80%くらいの確立で的中して、目的の花を見に行く途中でもっとレアな花を見られる、みたいな事が多々あったのですが、特に樹木の中でも、これとこれは特徴のある林床になってるから、気を付けて探すといいよ、と教えてもらった内の一つがこのミズキでした。

今でも忘れられない、樹木の面白さを教えて下さった先輩の思い出です。