ギンラン

春咲きの野生ランの中でも特に好きなランの一つです。理由はいくつかあるのですが、父が好きだったキンランと対になる名前を持つ蘭というのも理由の一つです。職場周辺の雑木林ではところどころにぽつぽつと生えています。キンランは見かけることがない代わりに、ササバギンランはよく見かけます。
ササバギンランとの違いは、全体的に小型で背が低い、葉が革質で丸みを帯びて細く尖らない、花数が少ない、明らかに突出した距がある、などの点があります。慣れれば花が咲き終わっていても、葉質の違いで分けられるほど、ギンランとササバギンランの葉の様子は異なります。

ある程度の標高差による住み分けもしているようですが、近年は平地のギンランは住み処を追われてしまって、山地や亜高山に近い標高のものが残っているような状況です。距(きょ)というのはランの花に見られる器官の一つで、唇弁の付け根から細長く棒状に伸びる突起です。管状になっていて、中に蜜を貯めるものも多くあります。古典園芸植物のフウラン(富貴蘭)や、野生ランだとウチョウランやサギソウなどがとても立派で目立つ距があります。
ギンランの仲間で、昔は発見が難しい自生地の少ない種類と思われていたクゲヌマランという野生ランがあります。学生時代に何度が探しに行って、発見できずにがっかりした苦い思いでのある蘭なのですが、近年各地で分布を広げているらしいです。現在住んでいる山梨県でも何カ所か自生地が確認されていて、ようやくクゲヌマランの本体を見ることが出来ました。花は終わってしまっていましたが、来年こそ写真を撮りに行きたいですね。
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