シラン(紫蘭)

近所の畑とか、空地とかで見掛けた花を紹介。シランは日本の平野部で普通に見られる野生ランですが、ほとんどが人為的に植えられたもので、原生群落はところどころ残っているだけだそうです。園芸種と勘違いされるほど丈夫できれいなランなので、人の手で増やされて広まるのも無理ないよなぁと思います。

最近は台湾のアマナランや中国の小白笈と交配した、寒さに弱い品種も作られています。ブルーシランや黄花小白笈などがそれで、残念ながら山梨では冬は室内でないと枯れてしまいます。球根はぎりぎり残るのですが、新芽が全てダメになってしまいます。

子供の頃に名古屋に住んでいたことがあって、シランはその頃の記憶と強く結びついています。家の周りにたくさん咲いていたし、近所の庭でもシランがたくさん植えてありました。花好きな方がお裾分けで広めたのかもしれませんが、本当にどこの家にもシランが咲いていた記憶があります。

切り花にして花瓶に飾っていたのも想い出です。ちょうど春真っ盛りと言いますか、暖かくなって梅雨に入る前の時期に咲くので、青空とシランの花が良い印象の想い出になっているのかもしれません。古墳の多い地域だったので、ちょっとした小山のような雑木林があちこちにありました。山の中にシランが咲いていた記憶は無いので、やっぱりもともとあった花ではなくて、誰かが広めたのだろうと思います。

子供心に複雑で変わった花だと思いました。今にして思えば、このシランとの出合がランを好きになった最初かもしれません。