写真,野草

オオマムシグサ

この仲間の同定は本当に難しくて、特にセラータム節(マムシグサの仲間)は個体変異も大きくて見分けるのが難しいです。分布域も近年調査が進んで今までの図鑑だと無かったところとか、新規の自生地が見付かることも多くて場所での特定もあてに出来ません。写真のマムシグサは葉の様子や草丈が2m近いサイズなのでオオマムシグサと判断しましたが…

日本のテンナンショウ属の図鑑として、「日本産テンナンショウ属図鑑」という写真図鑑があります。専門書大好きの北隆館から刊行されていて、今のところこの図鑑が最高峰じゃないかと思います。自生地の写真を中心にしているので、生育環境も分かるよい図鑑です。説明文も紛らわしい種類の区別点に言及していて、同定のための図鑑としても良いものです。

まーなかなかに手を出しにくいお値段なんですが、自分は買って良かったと満足しています。

写真,野草

サイハイラン

つぼみの状態を前に記事にしていたサイハイラン、およそ10日できれいに咲きそろいました。花被片は薄いピンクベースに細かな紫褐色の斑点が入るので、濁ったようなピンク色に見えると思います。梅雨入りの頃に暗い林床で咲く様子は、一見すると腐生蘭の一種のように思われますが、花茎の付け根には一枚か稀に二枚の葉を付けています。

写真,野草

ヤマグワ

まだ若くて黄緑色ですが、いわゆる桑の実です。ヤマグワだろうと思って写真を撮りましたが、マグワ(中国原産の栽培種)かもしれません。もう少し実が熟して赤くなってくるとはっきりします。子供の頃は近所で養蚕をしている家がたくさんあって、桑の実も食べ放題でした。

子供にとって酸味の少ない甘い果実というのは、おやつ代わりの人気の一品でした。ジャムにしても美味しいし、今でも時々食べたくなる味です。

写真,野草

ナワシロイチゴ

日本の野生木苺で、たぶん一番身近に見られるのがこのナワシロイチゴです。小川や田んぼの周辺で見られたり、ちょっとした柴山の道に生えていたりと、日本全国に分布する木苺です。せっかくかわいいピンク色の花びらを付けているのに、開かないまま受粉して花びらを散らしてしまいます。

写真の花もこれでちゃんと咲いている姿です。日が当たっていないから閉じている、わけではありません。なぜこんな咲き方なのか不思議ですが、食害を受けやすい環境から大事な実を守るためと考えると、少し必死な感じが可愛らしく思えてきます。花後に付くラズベリーは美味しいですからね。

写真,野草

スイカズラ

スイカズラ科を代表するスイカズラとはこの花です。昔の人は花を摘んで、蜜を吸ったことから「吸い葛」でスイカズラという名前になったと言われています。自分はサルビアやオシロイバナの蜜を吸った経験はありますが、スイカズラは試したことがありません。歩いていて近くを通ると分かるくらいに良い香りがあります。

西洋ミツバチが来ているので、蜜源として重要な花なのでしょう。咲き始めは白くて、終わり頃に黄色くなるので金銀に見立ててキンギンカという呼び名もあるとか。同じスイカズラ属でキンギンボクという植物もありますが、名前が似ていても猛毒植物なのでご注意を。夏に赤い実が二個並んで付くので、瓢箪木とも呼ばれます。