野生のアマドコロ

漢字で甘野老とあてられます。野老(ところ)はヤマノイモの仲間の宿根草で、アマドコロと似た感じの地下茎(芋みたいなもの)がありますが、苦味が強く食用に向きません。アマドコロは地下茎や新芽が甘く山菜として食用にされたり、漢方の生薬に利用されてきました。職場の周辺の雑木林にたくさん生えているので、斑入りや変わった花がないかなぁと探していますが、なかなかそういう物は見付かりませんね。

花は下向きの釣鐘状で、シラーやガルトニアの花を小さくした感じがします。よく見るとなかなかにお洒落な花で、花冠の先だけ緑色で染めていたり、先の方だけに細かな毛があったり、造形に面白みがあります。よく似た植物にナルコユリがありますが、慣れていないと両種の区別がわかりにくいと聞きます。
生息域が被ることもたまにありますが、両種は比較的に棲み分けていて、低山にはアマドコロ、標高が上がるとナルコユリが主流になります。花の時期はとても分かりやすい違いがあって、アマドコロの花の花梗と花冠の付け根の部分に注目すると間違えません。
アマドコロはこの部分がフラットで、花冠の底の部分に直接花梗が繋がっています。ナルコユリはこの部分がポコンと盛り上がって突き出した先が花梗と繋がっているので、そこだけを見ても判別できます。他にもナルコユリは1本の花梗が途中で分かれて、数個の花を付けることが多い、花冠が細長く先端付近で急に幅が出る、などの違いもあります。両者の中間型とみられる雑種かな? という個体も時々見るので、必ずしも花だけで判断できませんが。
覆輪斑のアマドコロは造園業で下草によく使われているので、最近では休耕地で名残を見掛けたり、田んぼのあぜ道に生えていたりと、栽培種の逸出かなと思われる群落を見掛けます。ペットの野生化が問題視されていますが、園芸植物の野生化にも気を付けたいものです。
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