クロシオチドリ

クロシオチドリ

長崎県平戸島のウチョウランで、開花期の早い一群がこの名前で呼ばれます。出始めの頃のクロシオチドリは、草丈が低くて花の大きいウチョウランという雰囲気でした。最近見掛けるようになったのは、全体的に大柄で耐暑性の高い個体が多いように思います。

山梨にもウチョウランはありますが、現在残っている自生地はどこも標高が高い場所のもので、栽培が難しいと聞きます。中学生の頃に見に行った父方の実家に近い山は、低山帯だったのでまばらに生えるイワヒバの根元や、カヤツリグサの株立ちの中で咲いていました。側にはジガバチソウやセッコクがあったのも覚えています。

クロシオチドリ・白紫点

ウチョウランと何が違うんだ? と思わないでもありませんが、花が大きい点と暑さに強い点は育てていて感じます。クロカミランと同じ頃に咲き出すので、開花が早いというのも確かです。今となっては自生地でも数が減って珍しい蘭になっているようです。

交配を繰り返して園芸化することも必要ですが、原種の性質のまま実生を繰り返して後代に残していくのも意味があることではないかと思います。素朴な原種っぽい花が、丈夫で育てやすく改良されて残るなら、いつか原生地の回復にも役立つかもしれません。純系じゃないとダメですけど。

Posted by Bsaku