イワチドリ「剣」

古典品種の中でも、唇弁の模様に特徴があるのがこの「剣(つるぎ)」という品種です。唇弁の元から左右にト点を思わせる模様が入ります。普通の原種は点条になる場合がほとんどで、点にならずに棒状に繋がっているのはこの品種やこの品種を親とした交配種の特徴です。

開花の点ではちょうど中間というか、平均的な早晩性でこの品種より早く咲くと早生、遅いと晩生というイメージがあります。年によっても違うことがあるので、あくまで目安としてのイメージですね。昨年まではあまり調子が出なくて、花数も少なかったのですが、今年は大きな球根が多くて、花数も多い豪華な株立ちになりました。目立つ花ではありませんが、原種の一つとして大事にしたいと思います。

イワチドリ「紀牡丹」
紀牡丹

わが家で一番最初に咲き始めるのは、毎年この品種です。古典品種と言われる初期に登録された自然選抜種。サーモンピンクまでいきませんが、多品種と比べると赤味の強いピンクなのが特徴です。花の王さまと言われる牡丹のピンク色に例えた名前なのかもしれません。

4.5寸くらいの大きめの鉢に、けっこうたくさんの球根を並べて咲かせてみました。花型は原種そのものなので数本だと少し寂しく感じますので、古典品種で並花の場合はこんな感じの寄せ植え風に咲かせるのがおすすめです。

クロシオチドリ・白地斑紋花

イワチドリがほとんど終了を迎えまして、代わってクロシオチドリとクロカミランが咲き始めました。ウチョウランも早いものは咲いています。昨年より舌のピンクが濃く出ているクロシオチドリの白地斑紋花です。相変わらず草姿の割に大きな花を咲かせてくれます。

クロシオチドリというのは、ウチョウランの地域個体群の一つと考えられていて、学名上はウチョウランと分けられていません。同様の個体群に、ツルギチドリ、テバコチドリ、小豆島ウチョウラン、ガンコラン、サイカイチドリといったものが有りましたが、現在も区別されて残っているものは小豆島ウチョウランくらいかもしれません。

その点クロシオチドリは、個体数が多かったのかいち早く保存会が発足したおかげか、今日でも多くの特徴有る個体が維持されています。早咲き、花が大きい、暑さに強いなど良い性質が多いので、今後も長く作り続けられて欲しいです。

エノモトチドリ・白紫点

コアニチドリの標準花をそのまま大きくした感じの、ほっそりすっきりな印象のお花です。イワチドリとコアニチドリの交雑種であるエノモトチドリは、花付きが良く栽培がしやすい入門向けのチドリ類として人気があり、年々流通量も増えているようです。

その多くは「三楽」やオオイワチドリの名称で流通している、唇弁の周囲をピンクに染めるタイプが多いので、純白の唇弁に切れの良い紫点が入るエノモトチドリはあまり見かけないかもしれません。非常に増殖率も良いので、有る所にはあるタイプなのかも。

オキナワチドリ「沖ノ輪」

今年もオキナワチドリが育ち始めて、すでに一ヶ月経過しています。今年で三年目を迎える白覆輪の「沖ノ輪」ですが、昨年の二球から一応倍になりました。まぁまぁ順調なのかなと思います。オキナワチドリは一年遅れて結果が出るそうなので、一年目の作柄が今年の生育に影響するようです。

一番大きな球根で1.4cmくらいなので、昨年の二球の時より大きな球根に育ってくれました。写真の一番左に写っている葉が細めの株が、昨年の球根と同じ1cmくらいでした。調子が良いとけっこう幅の広い、ゆったりした葉になるのだなぁと思いました。

展示会で見かけた姿はどれも葉の幅が広く厚い葉で、がっちりした雰囲気だったのでようやく近づいてるかなと感じます。