クゲヌマランを撮ってみた

クゲヌマラン
クゲヌマラン

この仲間の野生ランの存在を知ったのは、わたしが中学生の頃が初めてでしたので、かれこれ50年近く昔のことになります。初めて見たのはキンランで、父とエビネを見に行った途中で出会いました。それ以来この不思議な野生ランの仲間に心惹かれ、ギンラン、ササバギンラン、ユウシュンランと目にしたり写真を撮ったり出来たのですが、もう一種、クゲヌマランという種類があるという事実と、見ることが出来ていないという残念な想いが引っかかっていました。

クゲヌマラン(Cephalanthera longifolia)の存在を知ったのは、大学の自然系サークルに入った頃。幸いにも近くに有名な自生地があると教えてもらったので、先輩かたがた有志のグループで自生地を訪れて、クゲヌマランの花を探しましたが見ること適わず。それからも毎年花の時期に行ってみましたが、見付けることはできませんでした。ユウシュンランはサークル活動で訪れた山で偶然発見できて、意外にもたくさんの株が生えていて驚きつつも嬉しかった想い出です。

当時は絶滅危惧種の絶滅危惧ⅠA類(CR) と紹介されていて、とても珍しい野生ランという認識でした。ところが野生というのはやっぱり偉大というのか、環境に適応した種類は繁栄するを地でいったのか、いつの間にかクゲヌマランは各地に自生を広げていたらしく、なんと山梨県でも数カ所で見られると知ったのは去年の秋のことでした。

開花のタイミングはゴールデンウィークの頃ですが、今年は桜が早かったのでもう花が終わっているかもと思いながら、近所の自生地を訪れました。幸いにも最盛期は過ぎていましたが、日陰の株や林の暗いところの株はまだ蕾の状態で、ちょうどのタイミングの株をあちこちで見ることが出来ました。

クゲヌマランの花
クゲヌマランの花

一見するとギンランやササバギンランのようにも見えますが、それらよりも花が開く傾向にありますし、唇弁の付け根にある距がほとんど目立たない、距が無いように見えるのも特徴です。また、葉の形はギンランのように広卵形ではなくて披針形になりますので、どちらかというとキンランに似た傾向です。

葉の質自体はギンランより薄くて、革のような感じです。ササバギンランも狭披針形で明るい緑色の葉をつけますが、膜質で薄くて明らかにクゲヌマランとは違っています。それにササバギンランは亜高山帯に多く見られるランなので、山梨の平野部で見掛けることはまずなさそうです。

この自生地にはキンランも数株見掛けていたのですが、今年は咲いている株はありませんでした。実はこの場所は十数年前から何度も訪れている場所で、なんかギンランがあちこちにあるなぁ、くらいのとんだ節穴状態で過ごしていたのでした。まさかこのランがクゲヌマランだったとは……

クゲヌマランの薄黄色個体
クゲヌマランの薄黄色個体

今年はこの薄黄色のクゲヌマラン? がずいぶん増えていました。もともとキンランが生えていた周辺に7年くらい前に1本だけキンランとギンランの雑種かな? と思っていた株があったのですが、それが種子で増えたのか十数株にまで増えていました。良く見ると葉の様子もクゲヌマランとキンランの中間型のように見えます。

クゲヌマランの薄黄色個体の花
クゲヌマランの薄黄色個体の花

分かりにくいのですが、唇弁の先の部分が黄色く着色しているのはクゲヌマランと共通しています。ただし、赤味が強い黄色になっていて、その特徴はキンランのもののように感じます。あくまで素人の適当話なのですが、キンランとクゲヌマランが自然に交雑したのがこの個体群じゃないのかなと。

染色体の調査をすればはっきりすると思いますが、素人にはちと難しい分野です。あくまで夢と想像をふくらませて来年以降も観察を続けようと思います。それにしても、いったいどこからやって来たのでしょうね。ランの種子は他の動物に運ばれたりしないので、客土したり大きな樹木を植樹したときの根鉢の土から移入したんだろうとは思いますが、はてさて?

写真,野草

Posted by Bsaku