ニオイエビネ「御代の旗」

ニオイエビネ「御代の旗」

とてもよい香りの原種エビネ、ニオイエビネの「御代の旗」が咲きました。右の新葉の先は霜に当ててしまったために痛めてしまいました。油断大敵です。赤紫というか、葡萄色の細弁に形のよい白舌がまとまりの良さを感じます。

咲くときに寒さに当ててしまったせいか、花茎の伸びが中途半端で止まってしまってます。本来はもっとすっきり伸びる品種だと思います。四国のラブリーガーデンさんから購入しました。

このニオイエビネは、最近では珍しい新島産のニオイエビネです。ラブリーガーデンさんが昭和35年に新島で採取した一連の「御代シリーズ」のニオイエビネの一品種になります。今から60年も前に採取されたエビネと考えると、もはや古典品種と呼んでもよいかもしれません。今は新島にはニオイエビネはほとんど残っておらず、御蔵島のニオイエビネが人気もあってよく出回っています。

ニオイエビネ「御代の旗」の花

御代の旗は御蔵島産のニオイエビネとどこか違う感じを受けますが、ニオイエビネの特徴はよく出ている品種です。弁周囲の白い縁取り、細弁で反り返り気味になること、唇弁中央に大きめの黄点、細く長く上向きに伸びることの多い距、などの特徴がニオイエビネの特徴なのだとか。

咲き始めなのであまり反っていませんが、徐々に反り返り咲きになっていくそうです。香りはなんともいえない独特のよい香りで、資生堂産が香り成分を分析したところ複数種類の匂い成分が複雑に混ざっているのだとか。何かに似ているとは表現しにくい、でもすごく甘い感じでいい匂い。これがニオイエビネの香りです。

ニオイエビネ「御代の旗」の花横

横から見ると距の長さがよく分かると思います。ほんとうに長くてキリシマエビネより長いんじゃないかと思います。コオズだと子房と同じくらいの長さになるのをよく見るので、やっぱり交雑しているかどうかの判定に距の長さは重要なようです。

中学生の頃にニオイエビネが欲しくて探したのですが、けっきょくコオズしか手に入れられなかったのを思い出します。当時は人気の割に流通量が少なくて、高価で子供の小遣いでは買えない価格でした。人生初のニオイエビネの栽培な訳ですが、香りを楽しみながらゆっくり育てていこうと思います。

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