クロカミラン No.1156「幸春」

今年もクロカミランの季節がやって来ました。というか、今年は春の芽出しが遅くてクロカミランとウチョウランとサツマチドリが同時に咲き始めています。なんかおかしな年です。

この花は「幸春」という品種名の付いた自然種のクロカミランです。子房の半分ほどの長さの短い距、なで肩でふっくらとした舌と落肩ぎみの側萼片と、見事なクロカミランの特徴が出ていますが、派手な模様柄だけはらしくない感じを受けます。クロカミランというと全体的に薄い模様や霧点花のような模様花が多くて、クロシオチドリは派手柄という印象がありました。

保存会に登録されている由緒正しい品種なので、純粋なクロカミランなのは間違いないと思いますが、いろいろなタイプがあるのだとあらためて思わせてくれる花です。

セッコク

長生蘭「白蛇殿」

名鑑登録されている品種のみを長生蘭と呼ぶべきなのかわかりませんが、入手時は長生蘭でしたのでそのように扱っています。高知県香美市物部町大栃というところの産だと聞いています。あけぼの斑という分類になるのでしょうか。天冴えで芽出しの頃はほとんど乳白色の新芽で伸びてきます。

あけぼの斑の植物はどれもそうですが、徐々に葉緑素が乗ってくるので植物として生長することができます。芸という点で見れば後暗みという嬉しくない性質で呼ばれてしまいます。でも幽霊のままじゃ文字通りの幽霊になってそのまま枯死してしまうわけなので。白蛇殿は去年の葉にはあけぼの覆輪くらいの斑の残り方をしますから、後暗みといってもかなり良いタイプと思います。

山野草

アオテンナンショウの苗・大種子

先週末に、アオテンナンショウの実生苗を鉢上げしました。アオテンナンショウ(Arisaema tosaense)は四国や中国地方、九州で自生が見られる日本固有種です。名前の通り全体が緑色のテンナンショウで、最大の特徴は仏炎苞の先が細く長く伸びること。ウラシマソウの釣り糸のようにとても長く伸びるようです。

同様に小葉の先も細く伸びるそうで、実生苗の葉にもそれらしき特徴が出ています。こんなに小さいのに、もうアオテンナンショウとしての気概を感じるというか、なんか可愛らしく思えてしまいます。丸い小葉に緑の花が咲いて背丈もあまり高くならないと、ヒロハテンナンショウのような見かけの種ですが、アオテンナンショウは暑さに強く育てやすい種類です。

山野草,未分類

アマドコロ「白虎」

アマドコロの斑入り品種紹介の続きです。こちらが虎斑の代表品種、「白虎(びゃっこ)」です。雪白斑と呼ばれる真っ白なぼた斑がきれいに入ります。斑の種類としては、虎斑というより底斑になるのかもしれません。かなり昔から知られている品種で、わたしが初めて通販のカタログで存在を知ったのが中学生の頃ですから、今から四十年以上……

当時のお小遣いではとても買えず、お年玉を貯めても数年必要な値段だったと覚えています。子供の頃から斑入りの植物好きだったので、いつか手に入れたい憧れの品種でした。今では手頃な価格で流通していますが、最近は少し減ってきたかな? いつでも売られている品種ではなくなっているように思います。

岩千鳥・寿光タイプ

この春先にドリームシードさんから購入した、白紫点の寿光交配種です。純白にバランス良く点が散るという色彩は、ありそうだけどなかなか無いんじゃないかという、かなり特徴のある品種と思います。四条斑紋花あたりの遺伝子なのか、点と点が繋がらないで唇弁全体に広がっているというのは、いざ自分で交配したら難しそうだなと感じます。

大魔王のような強烈な模様花も好きですが、この寿光タイプのような上品な斑紋花も好きなものの一つですね。サツマチドリだとこういう小さな斑点の入る個体もままありますけど、イワチドリにはなかなか無いものです。