羽蝶蘭・紅一点Y723

今年もウチョウランが咲く季節になりました。典型的な紅一点花の Y723 です。ふくよかな中裂片にわずかな縁取りを残して濃い紅色に染まります。昭和の終わり頃のブームであれば、かなり人気になった花ではないかと思いますが、今はありふれた花の一つになりました。

好みの花を育てて咲かせるのが好きな人には、とてもいい時代になったんじゃないかと思います。今更ながらの自然種、野生から選抜された古い品種も見直されているので、オーソドックスなウチョウランもこだわりの花を育てて楽しみたいと思います。わたしはこのタイプがかなり好きなので、この花はお気に入りです。

クロシオチドリ・白地斑紋花

クロシオチドリはウチョウランの地域変異に分類される、長崎県平戸島産のウチョウランです。分類上はクロカミランやサツマチドリのように変種として扱われていませんが、趣味家は早咲きであることや、草姿の割に大型の花が咲くことから区別していました。

小豆島ウチョウランのように背が低く咲くものが多いのですが、この個体は並のウチョウランくらいに背が伸びて、大型の花を咲かせます。濃色花の多いクロシオチドリには珍しい、淡色系の佳品ではないかと思います。このようなはなが自然に咲いているというのは驚きですね。

クロカミラン・準無点

喉元にだけ細かい斑点がある、無点舌のクロカミランです。ありそうで意外と無いタイプかなと思います。わたしが育てているクロカミランは、どれも産地の地元、有田町の保存会の方から譲って頂いたものです。自然種は固体別に番号を付けて管理されていて、野生品は絶滅してしまいましたが、保存会など有志の方による植え戻しが行われています。

ウチョウランより一回り小さい、なで肩の花を咲かせます。保存会の分類番号は3141番です。

ガーデニング,山野草

セッコク「桃苑」

セッコクの「桃苑(とうえん)」という花です。子供の頃に初めて出てきた、セッコクの紅花としてずいぶんと有名な品種でした。今ではそれほど珍しいとはいえない、淡いピンクの色合いですが、当時はセッコクといえば白、まれに素心がある程度でとても人気があったと思います。

中学生の小遣いでは買うのをためらうくらいの値段だったように記憶しています。もっとも、当時のお小遣いは月千円だったかな。今とは貨幣価値も違いますし、多いか少ないかでいえば少なかったかもしれないw チェーン店のラーメンが一杯140円で食べられた時代でした。

コアニチドリ布袋咲き

コアニチドリの本拠地、秋田県産の大輪品種が「布袋」というコアニチドリです。でーすーがー、ちょっとこれは困った。果たしてこの花、ホンモノの布袋なのだろうか。かれこれ40年程前、子供の頃に一度だけ山野草店で布袋という名前の付いた、コアニチドリを見たことがあるのですが、その株の花はこんなに大きくなかったように記憶しています。

実生によって継代された、布袋系統なのか、自生地に複数株が存在した坪取りの品種だったのか。ちょっとその辺り判然としませんが、紅花の秋田美人もけっこう大輪の品種なので、布袋も大きいのが本来なのかもしれません。唇弁の中裂片が咲き始めに抱え込んでいて、布袋さまのお腹のように大きく丸いことが品種名の由来だそうです。

開いてくると縁がギザギザしていて、ウチョウランでいう仁王タイプのような花です。