クロシオチドリ

長崎県平戸島のウチョウランで、開花期の早い一群がこの名前で呼ばれます。出始めの頃のクロシオチドリは、草丈が低くて花の大きいウチョウランという雰囲気でした。最近見掛けるようになったのは、全体的に大柄で耐暑性の高い個体が多いように思います。

山梨にもウチョウランはありますが、現在残っている自生地はどこも標高が高い場所のもので、栽培が難しいと聞きます。中学生の頃に見に行った父方の実家に近い山は、低山帯だったのでまばらに生えるイワヒバの根元や、カヤツリグサの株立ちの中で咲いていました。側にはジガバチソウやセッコクがあったのも覚えています。

クロサキチドリ

謎のチドリとして3年前? から育てているクロサキチドリなのですが、あまり球根が増えないし、花付きもよくなりにくいです。いわゆる気難しい花というヤツでしょうか。聞いた話だとウチョウランとコアニチドリの交配種、という変わったチドリなので性質的にも難しい点があるのかもしれません。

細く伸びる葉と花茎は確かにコアニチドリっぽいなぁと思いますし、側萼片の形はウチョウランとよく似ています。距が短い点はコアニチドリの性質? セルフで種子を採って実生苗を育ててみたいのですが、今のところ受粉に成功していません。

クロカミラン「幸春」

今年は春先に暖かい日が続きましたが、5月中旬から平年並みに戻ったせいか、思ったよりもクロカミランやサツマチドリの開花が進みません。「幸春」はかなり初期に発見されたクロカミランの命名品です。丸く整った唇弁と複雑に入る模様が特徴なのですが、高温で咲くとべたっとした境目のない濃紫色で染まります。

咲いている花の下の方、5月の下旬に咲いていた花を見ると斑紋がはっきりしているのが分かると思います。自分の印象では斑紋花として面白いのは、最初の頃の模様になる花だと思うので、出来ればこの品種は早めに咲き出してほしいと思います。

写真,野草

ヤマグワ

まだ若くて黄緑色ですが、いわゆる桑の実です。ヤマグワだろうと思って写真を撮りましたが、マグワ(中国原産の栽培種)かもしれません。もう少し実が熟して赤くなってくるとはっきりします。子供の頃は近所で養蚕をしている家がたくさんあって、桑の実も食べ放題でした。

子供にとって酸味の少ない甘い果実というのは、おやつ代わりの人気の一品でした。ジャムにしても美味しいし、今でも時々食べたくなる味です。

写真,野草

ナワシロイチゴ

日本の野生木苺で、たぶん一番身近に見られるのがこのナワシロイチゴです。小川や田んぼの周辺で見られたり、ちょっとした柴山の道に生えていたりと、日本全国に分布する木苺です。せっかくかわいいピンク色の花びらを付けているのに、開かないまま受粉して花びらを散らしてしまいます。

写真の花もこれでちゃんと咲いている姿です。日が当たっていないから閉じている、わけではありません。なぜこんな咲き方なのか不思議ですが、食害を受けやすい環境から大事な実を守るためと考えると、少し必死な感じが可愛らしく思えてきます。花後に付くラズベリーは美味しいですからね。