アザレアツバキ

アザレアツバキの花
アザレアツバキの花

夏に咲く椿があるというのを初めて知ったのは、赤塚植物園さんの Webページを見ていたときでした。全くの不勉強でこの花の存在を知らずにいた自分を恥じつつマッハで注文。もともとツバキの仲間は大好きなので、いくつか育てている品種はあるものの、ツバキといえば早春から春までのお楽しみでまた来年。

メジャーな存在ではあるものの、春の風物詩としてのイメージしかなかったツバキ。それが夏に咲くものがあるなんて…まったくこの世界はどこまでも面白い。アザレアツバキ(Camellia changii)という、アザレアなのか、ツバキなのか、どっちなんだぃ! という紛らわしい名前は、学名のシノニムに C. azalea があって、元々はそちらの名前だったためのようです。なんかパチモンくさくて良く無い名前に感じるので、可愛い流通名があるといいですね~

ナツツバキという、同じツバキ科ではあるけれど別属の花木もあります。日本にも自生があって、ヒメシャラやシャラノキなど庭木でも人気のある白い一重咲きのお花です。アザレアツバキが夏に咲く椿なのにあまり知られていないのは、ナツツバキの存在に隠れている部分もあるかもしれません。

アザレアツバキ
アザレアツバキ

草姿はこんな感じで、花がなければトベラやシャリンバイの仲間と言われても疑わないかもしれません。葉の雰囲気もあまりツバキっぽっくないので、何も知らなければなんだろう? と悩むと思います。原産地は中国の広東省とだけ公開されていて、詳しい自生地は伏せられています。現地でも貴重な植物なのかもしれません。

発見されたのは、金花茶という黄色の原種ツバキが園芸界を騒がしていた時期だそうなので、50年ほど昔でしょうか。ツツジ属の中にマレーシアシャクナゲ(Rhododendron vireya)という熱帯性のツツジがありますが、葉の雰囲気はそれに似ているように見えます。広東省は中国でも南部の地域なので、国境に近いあたりなら完全に熱帯雨林気候だと思います。

日本でも案外育てやすいそうで、耐寒性もそこそこあって-5℃くらい耐えるそうです。でも鉢植えなら冬は加温してない室内で管理する方が良さそうに思います。私の住んでいる地域なら当然冬は室内です。

7月から10月にかけて伸びた枝先に花を咲かせるそうです。新梢咲きの性質は日本のヤブツバキやユキツバキにはないので、これらとの交配育種が進めば面白いと思いますが…どうなんでしょうね。2010年頃から苗の流通が始まったそうで、ツバキの育種に力を入れているアメリカやヨーロッパで交配育種が始まったと聞いています。

ツバキ属には自家不和合性を持つ種類が多くあり、日本のヤブツバキは特に強い自家不和合性があります。日本の在来種だと、サザンカ > ユキツバキ > ヤブツバキ=チャノキ、の順に自家不和合性が弱いらしく、園芸種はこれらの種間交配が行われているので、品種ごとにけっこう差があるとか。九州大学での調査論文をネットで見られますが、意外な品種が自殖できたりして面白いです。

さてこのアザレアツバキは自殖できるでしょうか。可能なら種子から育ててみたいと思っています。日本のツバキと交配となるとなるべく開花が遅い品種、例えば黒椿あたりの花粉を保存しておけば…なんて考えていますが、どうなりますやら。